御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
次第に深まるキスを楽しんでいると玲音が私の胸に触れてきた。

両手で玲音の体を押してキスを止めさせた。

「ごめんなさい。まだできないんです」

「あぁ、そうでした。すみません。念のために聞きますが、翼とはやるつもりはなかったんですよね?」

「しつこいです」

「確認は必要です。ですが、あの日すぐに分からずすみません。あの後、月経だという事は分かったのですが、どう接すればいいか何を読んでも1つの答えがなく、どう対応していいか悩んでいました」

あの硬い顔は悩んでくれていた表情だったんだ。

「人によってはそういう時でもすると書かれていたので、翼とならやるのかと」

「だから違います。私は契約していますし、玲音さん以外とはしません」

「そうですね。これは仕事ですね」

どことなく寂しそうに聞こえた。

玲音は再び私に甘いキスをして翼にされた感覚を無くしてくれた。

そして、私が眠るまで優しく抱きしめてくれた。


朝、意識がはっきりしてくると、頭に置かれている玲音の手の指が動いているのが分かった。きっと玲音は起きている。でも私が目を開けると彼はその手を引っ込めるだろう。

もう少し、寝たふりを続けよう。
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