御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
「じゃあ、一緒に作りましょう」

「大丈夫です。私が作ります」

「一緒に作りたいの」

「そうですか。それなら仕方ありません。一緒に作りましょう」

残り少なくなった卵を割り、玲音に溶いてもらい、脇から調味料や切ったチーズを入れた。

熱したフライパンでバターを溶かし、玲音に溶き卵を入れてもらう。

「私の手握っててください」と言って後ろから手を添えてもらいながらフライパンを小刻みに動かしてオムレツを作っていく。

玲音は興味深々で見てくれているのだろう。体が密着して少し恥ずかしい。

出来たオムレツを皿に乗せた。

「こんな感じ。できそう?」

「ええ、やってみます」

玲音は最後の卵を溶いてバターがとろけたフライパンに一気に流し込む。
ガタガタと音を立てながら、何とかまんべんなく火を通したところで私は玲音に木べらを渡した。

「なんですか?」

「簡単に形を作るため。ほら、早くそれで端に寄せて」

木べらで端に寄せてオムライスの形を作っていく。初心者でも簡単にできる方法だ。

「できた!」と目を輝かせながら玲音が言った。

きっと仕事が成功するとこうやって目を輝かせているのだろう。

私達は作ったオムライスを食卓に並べ、食べていた。

「何で急に朝食作ってくれようとしたんですか?」

「それは……美音さんが喜ぶかと。美音さんのご飯が私の毎朝の楽しみなので」と玲音ははにかむように言った。
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