御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
「シャンゼリゼは、ギリシャ神話の神々に愛された英雄たちや徳の高い人が死後に行く楽園から名づけられているという説があるんです」

ほぅほぅ。さすがはイケメン。
博識高いと思わせる不思議な力がある。

「私達は愛されているのでしょうか?」

おっと急にナルシスト発言。

これは痛い。痛すぎる思考だ。

いくらイケメンでもそれは受け付けられない。

シャンゼリゼ通りを歩く誰もが神に愛されている訳がない。

ただそこに道があり、目的地に行くためだけに歩いているのだから。

愛されていると考えるのはいくらイケメンでもそれはおこがましいってもんよ。

いや待てよ。彼は私達と言った。

つまり彼と私が神に愛されていると言いたいのかもしれない。

とするとここから始まる物語はパリで偶然出会った二人が織りなす愛の物語! なわけないか。

いくら楽観主義で人を信じやすい私でももう分かってきた。

性善説を信じると痛い目にあう。人々は簡単に悪魔に侵食される。
性悪説で生きる方がずっと生きやすいことを。
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