御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
「あぁ、楽しくて、もう少し一緒にいたいという感覚は分かります。遅い時間にも関わらず、仕事が楽しくて、もう少し仕事を進めたい。私もそんな感覚を味わったことがあります」

この人はどこまで行っても仕事人間のようだ。

「そういう意味では昨日は私も神岡さんと一緒にいることを嫌とは思わず、遅い時間でも過ごすことができました。それに、この3日間神岡さんの事ばかり考えております。あと、一緒にいて邪魔だという感覚がありませんでした。これは疲れないというのと同じだと判断できます。つまり私は神岡さんを好きという事ではないでしょうか?」

私に疑問を掛けられても困るが、それは好きでもなんでもない。

私のことを考えているのは仕事の一環だし、そもそも人を邪魔だと思う感覚が私には理解できない。
疲れないのは仕事人間の咲羽が私相手に仕事しているので疲れないだけだと思う。

だが、彼のよどみないはつらつとした声にツッコミどころを失った。

彼は姿勢を整えると大きな商談事を進めるように力強い声で再び話始めた。

「私は仕事相手でも大抵2時間も同じ人と居ればもう十分だと思い、相手を邪魔だなと思い始めます。そういう意味で女性と長く一緒にいることもままならず、せっかく好意を持っていただいた人でも関係が発展することはありませんでした。神岡さんは私にとって特別な人のようです。やはり結婚致しましょう」
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