御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
ビジネス婚はじめます

新生活は愛情が一杯

長旅を終えた私は事前に彼に言われていた到着ロビーに向かった。
そこには帰国者やお迎えの人が沢山いて彼の姿を見つけることができない。

立ってくれていれば、彼ほどの背の高さなら目に付くはずだが、いないという事は座っているかまだここまで来ていないかのどちらかだろう。

「神岡美音様でしょうか?」

私が到着ロビーでキョロキョロと辺りを見渡していると、白髪のスーツを着た男性が私に声をかけてきた。

海外旅行の余韻から私は人を警戒する姿勢をまだ崩してはいなかった。

彼はそんな私の警戒を察したのか、「大変お待たせいたしました。玲音様がお待ちです」と言って歩き始めた。

玲音様?

疑問に思いながらも彼についていった。
日本国内なので何かあれば助けを求められるし、逃げる事だって容易だろう。

それに私が玲音と関係があるなんてことは余程の人でないと知らない。

警戒心を崩さずにしっかりスーツケースのグリップを握って彼について行くと駐車場に辿り着いた。

白髪の彼はシルバーグレーの車に乗り込むと車を前に出し、降りてきて、後部座席の扉を開いた。
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