御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
「玲音と呼んでください。私も今日から美音さんとお呼びします。私の家は3LDKで階数は2階です。と言っても2階が最上階ですが、それぞれの部屋は書斎、ジム、寝室として使用しています。誰が来ても邪魔ですが仕方ありません。ジムとして使っている部屋を美音さんの部屋にしましょう」

「ご迷惑そうなのでやっぱり今の家に暫く住みます」

「母が疑うかもしれません。今日から私の家に住んでもらいます。と言ってもすぐに器具を移動するのは大変ですから今日は寝室に寝てください。私はソファーで寝ます」

「では、私がソファーで寝ます」

「いや。私がソファーで寝ます」

「私がソファーで」

「いいえ、私がソファーで寝ます」

「私がソファーです!」

「……美音さんはソファーにはなれませんよ。人間ですから」

人の発言ミスを笑いもせずに真顔で交わすとは、これから私はこの人と上手くやって行けるのだろうか。

「もう大丈夫そうですね。私も疲れているので帰るとしましょう」

彼はパソコンをたたみ、鞄にしまうと立ち上がり、部屋を出て行った。

私も急いで彼について行った。

弘美さんに挨拶をしたいと言ったが、フラダンスの時間で既に家を出たらしい。

何部屋も続く廊下を進み、1階に下り、玲音の実家を後にした。

再び車に乗り、まず私の家に向かった。
< 72 / 129 >

この作品をシェア

pagetop