御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか？

何故長女なのに花岡の名前を継がないのか気になっていた所、白木さんが補足してくれた。

エスパーなのだろうか。

弘美さんの旦那さん、現在の副社長の正人(まさひと)さんはホテルウルーズでその才覚を見込まれ弘美さんとの縁談を申し込まれたそうだ。

弘美さんは彼を評価しているのなら、婿養子の必要が無いと考えていたそうだ。

家族経営ではなく、彼に才能があるから時期社長に選ばれているという事実を大切にしたかったようだ。

一回りも年上の彼と結婚し、弘美さんは玲音を身ごもった。

最初の子供が男の子という事で安心したらしい正人さんは再び仕事にのめり込んだ為、玲音は一人っ子である。

玲音は弘美さんと同じでフランスの血を色濃く残しているそうだ。

尚、花岡家の名前は下の妹たちが継いでいる為、絶やすことはないらしい。

そこまで聞いたところで車は玲音の家に到着した。

「少し話をしすぎました。私は玲音様の会社への送迎を行っておりますが、基本的には弘美様の運転手として仕えておりますのでプライベートでは中々お目にかかることはございません。しかし、このように弘美様からのご依頼でお迎えに来ることもありますので今後ともよろしくお願いいたします」

白木さんは運転席でお辞儀をしていた。