御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
仕事はできるのだが二人ともプライベートが散々なようだ。
一人は金遣いが荒く、一人は女癖が悪い。喜一郎さんはどちらもその座につかせたくなかった。

学生の頃から頭角を現していた玲音にと前から思っていたが、しがらみがあり、玲音の為にその気持ちは押し堪えていたそうだ。

玲音をマネージャー止まりにしていたのは玲音を守るためだったらしい。

だが、結婚すると決まっていつも一人だった玲音に頼れる相手ができたと安心しているようだ。

そうじゃないとは言えなかった。

「玲音はなんでも一人で背負いこむ癖がある。どうか玲音を助けてやってくれ」

喜一郎さんは私に手を伸ばしてきた。私が彼の手に右手を添えると、両手で包み込むようにしながら何度も上下に動かし「頼んだよ」と言ってきた。

私に何かできるのだろうか。

「婚約の報告は今月末に会場を抑えたからそこで行う。招待状は既に関係者に送付済みだ。結婚式は当ホテルで3ヶ月後の大安の日に執り行う。入籍は結婚式当日。それでいいか?」

正人がそう言った。
確かにホテルウルーズには結婚式場もあるが、この親子何もかもが早すぎる。

「ごめんなさいね。私は好きなところで結婚式させたかったんだけど、それはできないんですって。ケチね」と弘美さんは可愛らしくウィンクしながら言った。
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