御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか？

玲音は私に目を合わせ、大丈夫かと聞いているようだった。

「大丈夫です。何から何までありがとうございます」

「よし、決まりだ」

パンと正人さんは膝を叩いて言い、続けて「今のうちに子作りに励むように。忙しくなると中々できんからな」と言った。

「子供はまだ考えてない」

玲音が言うと正人さんは驚いたように声を荒らげた。

「何を言っているんだ。考え始めた頃には遅かったとなっては困る。1日でも早い吉報を望む。昨今女性でもいい仕事をする。女の子でも男の子でも構わん。会社の為を思うならすぐに考えたまえ」

玲音は反論しなかった。

できないという事もある。そういう事にしようと思ってくれているんだろうと思っていたがその夜状況は一変した。

只今私達は弘美さんからのプレゼントである紺色のシルクのパジャマをペアルックで着てベッドの上で正座して向かい合っている。

「あれから今日一日考えました」

いつも以上に黙っていたのでそれはよく分かる。

「契約事項をもう一つ増やしてはどうでしょうか？」

それは、つまり？

「これもビジネスです。子供を作りましょう」

「いやいやいや、それはビジネスにしたら駄目ですよ。いくら玲音さんでもそれは言っちゃダメなセリフです」

「それは分かっています。ですが、父の言う事は絶対です」

父絶対教ですか？