御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか？
いつも通り朝食を作り、今日は仕事だというのに中々起きてこない玲音を起こしに行った。

「玲音さん朝ですよ。今日お仕事ですよね？」と小さな声で彼を起こす。

「んん～」と身体を丸くして一瞬息が途切れたかと思ったらバサッと起き上がった。

「おはようございます。まだ十分間に合いますよ」と私は笑顔で彼に伝えた。

彼はぼうっと私を見て、目を見開くと一気に顔を真っ赤して下を向いた。

「おはようございます」と言いながらベッドを降りる。

先にリビングに行き、待っていると玲音はいつもの完璧な凛々しいお顔を見せていた。

だが、私が用意した朝食を見て顔を歪めた。

「これはなんですか？」

玲音は不思議に思ったのだろう。

今日は和食にして朝からキャラ弁のようにウサギやブタやクマの形をしたおにぎりやタコさんウィンナーにひよこゆで卵を作り、焼き魚には端っこに海苔で目と口を付けた。

一応和朝食にできるように味噌汁とインゲン豆の胡麻和えに冷ややっこの小鉢もある。

「可愛いでしょう？　子供ができた時の為の練習をしてみました」

私が笑顔でそう言うと玲音の口元が少し緩み、頬が上がったように見えた。
がしかし、すぐに彼はいつもの表情に戻した。

「玲音さんって笑えないんですか？」

「笑えますよ、ほら」と言って営業スマイルを見せてきた。
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