S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
「社会人になってもうすぐ二年だもの。女性が一番変わるときかもしれないわね」
ふたりからまじまじと観察されて居心地が悪い。家政婦が淹れてくれたお茶を勧められ、「いただきます」とすぐに手を伸ばした。
「それで話というのは?」
浩平に促された朋久が、菜乃花の隣で背筋を伸ばした。心なしか雰囲気が引きしまる。
「じつは菜乃と結婚しようと考えてる」
一瞬の静寂がリビングを包み込んだ。そして数秒後――。
「なに、なっちゃんと?」
「まぁ!」
ふたりが同時に驚いた声をあげる。浩平は腕を膝に置いたまま前のめりになり、寿々は両手を口元にあてて目を丸くした。
「私たちの息子と娘は、いつの間にそんな展開になっていたんだい?」