S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

亡くなった両親を引き合いに出され、罪悪感が輪をかける。

咄嗟に朋久を見たら、僅かに揺れた菜乃花の心の動きを察したかのように頷いた。
大丈夫だ。心配いらない。
そう言われた気がして、後ろに流されそうになった気持ちが引き返してくる。

(大丈夫。そうだよね。だって私は朋くんのそばにいられる権利をもらえたんだもん。お父さんとお母さんも、きっと喜んでくれてる)

微かに下がった口角を上げ、浩平と寿々にめいっぱい笑いかける。


「おじさま、おばさま、許してくださってありがとう。ふつつかものですが、よろしくお願いします」


手を揃えて頭を下げた。


「なっちゃんはふつつかなんかじゃないわよ」
「そうだとも。朋久のようなわがままな男に嫁いでくれるっていうんだから」
「そうよ、こんなにかわいらしいお嫁さん、そうそういないわ。朋久にはもったいないくらい」


うれしすぎる言葉をもらい、胸がいっぱいになる。
この場に自分の両親がいたらよかったのにと思わずにはいられない。
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