S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

「これで大丈夫かな」


ばっちりだと自信を持てないのは、朋久がどう感じるかわからないせいだ。

朝食は自宅で食べようと支度を済ませて部屋を出たら、リビングでパジャマ姿の朋久と鉢合わせした。まだ起きる時間ではないと高をくくっていたためドキッとする。


「朋くん、早いね。おはよう」
「菜乃こそ、もう着替え終わったのか」


菜乃花を前にして目をまたたかせた。


「うん、張り切って準備しちゃった」


そう暴露してから、余計なひと言だったと焦る。楽しみにし過ぎているのが丸わかりだ。


「あ、ほら、遊園地なんて久しぶりだし、ね」


朋久とのデートだからウキウキしていると感づかれたくない。あくまでも遊園地目当てだとアピールする。
急いで付け加えるが、朋久は菜乃花をじっと見たまま耳にも入っていない様子。
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