S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

「……朋くん?」


首を傾げて呼び掛けたら、ようやく我に返ったような朋久はそっと微笑んだ。


「似合ってる」
「え?」
「その格好、すごくかわいい」
「ほ、ほんと!?」


早速褒められるなんて予想外のため、どっくんと大きく心臓が弾む。朋久のキラースマイルのせいもあった。


「子猫みたいな毛並だな。ふわふわしてるから抱きしめたくなる」
「だ、だ、抱き……!?」


かわいいだけでなく抱きしめたいとはどういう意味か。
あまりにも鮮烈だったため声は裏返るし、言葉も最後まで紡げない。


「冗談だ、冗談。そんなにビビるな」


朋久はすぐに笑い飛ばしたが、菜乃花は冗談では済ませられない。からかわれているのは知っているが……。
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