S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
同居するようになって以降、保護者の意識が働くせいか朋久は恋人を作る気になれず、ここ七年間は恋愛を封印してきた。菜乃花を思い出してドキッとしたのは、雅史に唐突に女性絡みの話を持ち出されて動揺したからだろう。
半ば強引にそう結論づけ、グラスに口をつける。
「そういう雅史のほうは最近どうなんだ?」
大規模な総合病院の中核を担う医師として、弁護士の朋久同様に忙しい毎日を送っているのは知っているが。
「俺もまぁぼちぼちやってるよ」
雅史もここ数年、浮いた話をきかない。忙しさでそれどころではないのかもしれないが。
弁護士も医師も、華やかなイメージとのギャップは否めない。
「お互いに花がないな」
「朋久には菜乃花ちゃんがいるだろ」
「だから菜乃は違うと何度言わせる」
「さぁそれはどうだろうね」
どうやら彼は朋久と菜乃花をくっつけたいらしい。
含み笑いで意味深な目をする雅史に、朋久はひけらかすようにしてため息をついた。