S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

テーブルの上で軽く手を組み、法に則ってゆっくり説明していく。


「では、事業を承継する人がいるかどうかを調べなくてはならないのですね」
「そのあたりの調査もこちらで可能ですが」
「ぜひお願いしたいです」


隣に座る野々原に目で指示し、必要書類の作成に入る。一連の説明を終えクライアントを見送った。


「今日は京極先生にひと言申し上げたいことがあるんですけど」


野々原がアシスタントにつくのは代表取締役を解任したいという事案以来。その目はどこか朋久を責めているようだ。


「若槻さんの彼氏って、京極先生だったんですね。先生も人が悪いなぁ。彼氏はいるんでしょうかって僕が聞いたとき、まるで他人事みたいに『いるんじゃないか』なんて。ご自分だったならそうおっしゃってくださればよかったのに」


不満たっぷりに朋久に食い下がる。


「悪かった。あのときはそう誤魔化す以外になかったんだ」
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