S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
目覚めても真夜中なんてやっぱり無理だと菜乃花は首を横に振る。
夏は菜乃花も一時間ほど早く出勤しているが、さすがに冬は早起きがきついため通常の勤務時間にしている。
「でも、刻一刻と空けていく感じもなかなかいいものだよー」
「朝からそれを味わう余裕がそもそもないかも!」
ふふっと里恵が笑う。
起きたときから時間との戦い。居候させてもらっている身分のため、できる限り家事をしたい。
朋久はその必要はないと、もともと頼んでいたハウスキーパーを継続しようと言ってくれたが、それでは菜乃花の気が収まらなかった。
なにしろ住居費はもちろん生活費のいっさいを朋久が負担してくれているのだから。国際弁護士資格も有する世界を股に掛けた次期CEOの朋久が、菜乃花には想像もつかないくらい収入に余裕があるのはわかっているけれど。
菜乃花の一日は、ふたり分の朝食づくりからはじまる。
「あ、そうだ、昨日の夜、基樹くんと話してたんだけど、いつものメンバーで集まらない?」