S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

このところ菜乃花の様子がおかしいため動向を探っていたが、若槻廉太郎と会っているのは突き止めても、その理由までは判然としていなかった。

菜乃花の亡くなった両親の自宅の管理を彼に任せているため、買い手がついたといった話で会っているのかもしれないと最初は考えていた。しかしそれなら、廉太郎と会った話を朋久にしてもよさそうなもの。

それをしないのは、しつこく菜乃花に連絡をしてよこす充が関係しているのではないかと推測していたが、朋久と血の繋がりがある偽の鑑定結果で離婚させようとしているとまでは想像できなかった。

どういった経緯で菜乃花にそう信じ込ませたのか不明だが、こんな姑息な手を使うなど許せない。

朋久は手にした鑑定書を破ってしまいたい気持ちをなんとか抑え、テーブルの封筒に戻した。

飲み過ぎた頭痛も倦怠感も、一気に吹き飛んでいく。

急いでシャワーを浴び、身支度をしてマンションを飛び出した。

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