S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

*****

「え、ちょっ……朋くん?」


マンションに帰り着くや否や玄関で朋久に抱き上げられ、菜乃花は寝室に連れ込まれてしまった。

そっとベッドに下ろすなり、朋久が菜乃花を組み伏せる。両手を顔の脇でシーツに縫い留めるようにし、艶めいた瞳で見下ろす。


「この数週間キスもセックスもお預けなんて、どんな仕打ちだよ」
「それはその……朋くんと兄妹ならダメかと……。ごめんなさい。傷つけたよね?」
「むちゃくちゃ傷ついた。俺は菜乃の仇をとったんだから、菜乃はこっちの責任を取れ」
「こっちって……?」


朋久が大真面目に指差すほうに目線をずらしていく。菜乃花の太腿のあたりに微かにあたる〝硬い物体〟の存在を知り、急速に顔が真っ赤になっていく。


「朋くんのエッチ!」
「エッチって、お前な、好きな子をやっと抱けるってときにふにゃふにゃのほうが大問題だろ」
「だからその言葉がっ」


思わず形状を想像するような言い方はやめてほしい。
< 281 / 300 >

この作品をシェア

pagetop