S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

「……大きくなったら」
「大きくなったら?」
「朋くんのお嫁さんにしてくれる?」
「え? 俺のお嫁さん?」


菜乃花の白い頬が一気に桜色に染まる。肩を強張らせ、一生懸命な様子が健気でかわいい。


「うん。……ダメ?」


おそるおそる朋久の顔を見上げる菜乃花の目は、今にも落ちそうなほど大きく見開かれていた。

堪らなくかわいい。
そんな感情が心の底から湧き上がった。


「いいよ。菜乃が大きくなったらな」


朋久が快諾すると、菜乃花はぱぁっと顔を輝かせうれしそうに笑う。

まるで朝日を浴び、朝顔が花びらを開くような可憐な笑顔に不覚にもドキッとさせられた。――八つも年下の小学生相手だというのに。


「ほんと!?」
「ああ」
< 286 / 300 >

この作品をシェア

pagetop