S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
念を押す菜乃花に笑い返す。
「そしたら、キラキラでヒラヒラしたフワフワの真っ白なドレスを着てもいい?」
「菜乃の好きなドレスにしたらいい」
擬音だらけの形容に心をくすぐられる。
「やったぁ」
菜乃花はその場でぴょんと跳ね、喜びをいっぱいに表した。
よくある、幼い女の子特有の願い。身近な年上の男に憧れを抱く、成長過程の一種。菜乃花が大人になったら、そう願ったことすら忘れてしまうだろう。
そう認識しているのに、どうか覚えていてくれと祈らずにはいられない。
「じゃあ、指切りげんまん」
菜乃花が小さな手を突き出す。小指を立てて首を傾げる仕草が微笑ましくて、朋久まで笑みが零れた。
小指を絡めて揺らしながら、お決まりのフレーズを口ずさむ。
「ゆーび切った」