S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
「さて、いつまでもこうしていたら若槻さんに怒られるし、そろそろ真面目に働こうか」
突然、名字呼びに変え、菜乃花を立ち上がらせる。
濃密なキスをしておいて、いきなり仕事モードにチェンジとは容赦がない。置き去りにされそうになった菜乃花も、なんとか気持ちを切り替えようとスーツの乱れをなおした。
「口紅、落ちてる」
朋久の親指が菜乃花の濡れた唇を拭う。
「誰のせいですか?」
べつの弁護士の部屋に行く前にメイクをなおさなければならない。
「お詫びに、いくらキスしても落ちない口紅をプレゼントするよ」
〝そうしたら、いくらだって職場でキスできるだろう?〟
そう耳元で囁き、朋久は涼しい笑顔を浮かべた。
「でも、あまりやり過ぎは禁物だな。今すぐ菜乃花を抱きたくなった」