S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
偽りからのレベルアップ


ハートのロゴが巷に溢れ、甘いムードに包まれるバレンタインデー間近。街を歩けば必ずといっていいほど〝ハッピーバレンタインデー〟の文字を目にして、嫌でもその日を意識させられる。


「菜乃花は今年の義理チョコ、どうする?」


お昼時、休憩室でお弁当を広げて早々、里恵が向かいからかわいらしく小首を傾げる。
最初から本命を外して義理チョコを聞いてくるあたりは、菜乃花の恋愛経験が皆無だと知っている証拠だ。


「お店で手軽なものを調達する予定だよ」


この前、朋久と一緒に行ったミレーヌならセンスのいいものがゲットできるだろう。
入所して一年目だった前回は市販のものを部署内にだけ配っていた。


「里恵は?」
「うーん、基樹くんに手作りをあげるから、そのおこぼれをラッピングして配ろうかな」
「おこぼれって」


思わず笑いが零れる。
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