S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

「デザートになるかどうかはわからないんだけど」


食べ終えた皿をシンクに下げ、昨日準備した小箱をテーブルに置く。


「菜乃からのバレンタイン?」
「毎年お酒だけど、今年は作ってみたの」
「菜乃がスイーツを作るなんて珍しいな」


朋久はなんとなくウキウキした様子でリボンを解き、早速箱を開いた。


「クッキーか?」
「朋くん、チョコは苦手だからコーヒー味にしてみたの。お砂糖はちょっとだし、甘くないと思うんだけど……」


朋久は中からひとつ摘まみ、ポーンと口の中に放った。サクサクといい音がする。


「軽い感じがなかなかだな。うまい」
「ほんと!?」
「ああ。コーヒーのほろ苦さが俺好みだ」


そう言って朋久は続けざまに食べる。
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