あお
路上で唄ってる人がいる。絵を描いてる人もいる。
みんなそれぞれの道を一生懸命歩いてるんだ。
私だってこれから……

「あ、ここは…」

そこは健藏さんと入った喫茶店の前だった。健藏さんが来ていないか、中を覗いて見た。

キョロキョロ…
ジロジロ…

そうしていると、ウエイトレスさんが私に気付き、冷たい視線を浴びせられた。

「は、ははは、どうも……」

変質者と間違えられたかも…。

事務所に行き始めてから学食に行けてない。
健藏さんにお礼が言いたいのに…。

「…っと、…どっちだ??」

また道がわからなくなってしまった。

「たしかこっちから来たから…あれ?違うな…」

私ってとんでもない方向オンチ…。

時間がかかったけど、なんとか依子ちゃんの大学までたどり着いた。ここまで来たら帰り道はわかる。
この前は健藏さんがここまでおくってくれたな…。

ボーッとしてたら、通りに健藏さんらしき姿が見えた。

「健藏さん…?」

近くまで行ってみた。

「健藏さん!」

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