あお
健藏さんは帰っていったようだ。

健藏さんは、私が思い詰めて自殺でもするんじゃないかと、心配していたみたいだ。

そんなことは考えていなかったけれど、このままずっと眠っていたかった…。

―プルルルル…

依子ちゃんの携帯の着信音で目が覚めてしまった…。

「あーごめん…、家からだ。もしもし……あ、おばさん?……え?」

「ねぇ、もしかしてうちの?」

「うん…」

「貸して」

たぶん仕事のことだろう。
私は腹を立てていた。

「もしもし、舞子だけど」

『舞子?あんたどういうことなの!?』

「何が?」

『何がって…、仕事よ!』

「須藤さんに頼んだんだってね。どうしてそういうことするの!?私ひどい扱い受けたんだから!」

『仕事なんだからつらくて当たり前でしょ!大体あんたのことだから千葉に行ってまでブラブラしてると思ったのよ!やっぱりそうだったんじゃない。せっかく須藤さんが情けをくださったのに、まったくあんたって子は!』

「私は頑張ったよ!なのに仕事にならないとか、迷惑だとか…、そんなこと言われてもう行けるわけないじゃん!」

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