あお
「あ…おかえりー。なんともないよ、ちょっと疲れただけ…」

「そっか、びっくりした。ごはん食べた?私お店のパンをもらって、おみやげも持ってきたよ」

「ありがとう…。でもなんか食欲ないや…」

「…何かあった?」

「悲しいほど何もないよ。ただみんな着々と前に進んでるなぁって、なんだか自分が情けなくなっただけ…」

「…ごめん」

「は?やだ、謝んないでよ!私が悪いんだから。…いや、ね。今日気分転換しようと思って美容室に行ったら、中学んときのいじめっ子が美容師になってめちゃくちゃ輝いていて、…それに比べ私って何なんだろう?って」

「うーん…ま、歩く速度は人それぞれで、舞子ちゃんだって自分を探すために毎日歩いてるじゃん。こんなに疲れちゃって…。ゆっくりでいいんだよ!私だって学校でみんなすごいなって、ついていけてない気もするよ。ねぇ、しばらくバイト探し休んでみたら?」

「えっ、でも…」

「筋肉だって、鍛え続けるより少し休ませた方がつくんだってよ?」

「筋肉?」

「そう、筋肉!」

「ははっ、よくわかんないけどちょっと元気出た。あーお腹空いてきた!そういや昼食も摂ってなかった」
< 6 / 100 >

この作品をシェア

pagetop