あお
鏡に映る自分の姿……
なんて情けないのだろう…。

お手洗いから出て戻るともう誰もいなかった。
…私は結局誰とも話さなかった。話しかけられもしなかった。
私はなんでここにいるの…?

「藤崎舞子さん」

誰かが私をフルネームで呼んだ。

「僕。隣りに座ってた吉田雄太郎!」

まだ一人残ってた…。

「みんな帰っちゃったんですね。私も帰ろう…」

「せっかく出会えたのに僕たちもどこか遊び行こうよ。舞子さん食べてるだけだったじゃん」

「え…、ははは…」

もう帰りたかったけど、断れずについていってしまった。

「それはひどい会社だったね」

「でしょー?ひどいひどい…。あー…、早くちゃんとした仕事に就けないかなぁ。私自己紹介でかっこわるかった…」

「でも僕は逆に、純情そうな君に好印象を持ったな!」

「そうですか?…それはどうも」

それにしても、どこに遊びに行くのだろう…?

「あれが僕の愛車!」

「車で行くんですか?…私方向オンチだから帰れなくなっちゃう」

「送ってあげるから大丈夫だよ!さ、乗って」

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