あお
危険な感じがしたので、私はためらった。

「…やっぱり帰ります!明日も仕事探しまわらないといけないし…」

「たまにはハメはずせよ」

「…!」

いきなりすごい力で押さえられ、くっ、唇を……
誰か…助けて!

―バシッ

「…痛ぇな!誰だてめぇ!?」

「俺の女に何してんだてめぇ!?」

…健藏さん!

「俺の女!?おまえ男がいるのに参加してたのか!」

「俺の女におまえって言うな!もっと痛い目に合いたくなかったらとっとと失せろ!」

健藏さんは睨みつけ、その迫力に負けた吉田雄太郎はそそくさ去って行った。

私は恐怖のあまり体が震え、健藏さんの支えなしでは立っていられなかった…。

「大丈夫か…?」

健藏さんは自分のシャツで私の唇を拭いた。

「ふっ…うっ…、う~…、ファ、ファーストキスだっ…たのにっ…」

「…マジかよ」

その場を離れ、公園のベンチで、健藏さんは私が落ち着くまで黙ってそばにいてくれた。

「…はは、また健藏さんに助けられちゃったね…」

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