あお
「…もうちょっと早けりゃよかったんだけどな、すまん」

「ううん…。でもどうして…?依子ちゃんに聞いたの?」

「おう、依子ちゃん心配してたからな…」

「そう…。ねぇ、さっきのことは依子ちゃんには黙っといてくれる?…責任感じさせちゃうと悪いし」

「おまえも人がいいなぁ」

「お互い様でしょ」

「もうヘンな男について行くなよ!いつ襲ってくるかわかんねぇぞ男は」

「そうなの?…でも健藏さんは襲ってこないね。…まさか女の子!?」

「そうなのっ、あたし女の子。…ってバカ。こんな男らしい女がいるかよ?」

「ははっ、いるよー」

「俺はな、いい加減じゃないから、大切な…友達には手ぇ出さねぇ。…でも襲われたかったら襲うぞ?」

「えっ、やだ」

「冗談だよ!もう帰るぞ。夜が明けちまう」

健藏さんは立ち上がったけど、私はまだ座っていた。

「…どうした?帰らないのか?」

「あ、帰るよ…」

「なんだよ、ボーッとして?」

「なんでもないよ!さっ、明日も仕事探しだー。健藏さんよ、どうもありがとなー。バイバイッ」

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