あお
「ごめん、聞いてなかった。何だっけ?」

「だから、依子ちゃん、ここ最後の夜だし泊めてって」

「もういいよ」

「え、だって…」

「健藏さん、別れよ」

依子ちゃんがいきなり…

「ちょっと、なんでそうなるの!?」

健藏さんは車を止め、しばらく沈黙が続いた。
…この空気に耐えられなくなった。

「わ…私席外すね」

「いいよ、ここにいて」

「……はい」

そして依子ちゃんが話し始めた。

「舞子ちゃん…いなくなってから私、健藏さんのこと好きになって、告白して付き合ってもらってたけど、…わかってた。健藏さんの気持ちが本当は私にないこと…」

「そんなことねぇ…」

「もう嘘吐かないで…。そんな優しさは傷つくんだから…」

「………」

「私もここ離れるし、いいきっかけじゃん。もう…無理しないで。解放してあげるよ」

依子ちゃんは車を降りた。

「ちょっと待てよ!」

健藏さんも依子ちゃんを追って車を降りた。

「…今夜どこに寝んの?」

「まだ最終便があるの。もう今夜行く」

私も車から降りた。

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