あお
「まだ髪切ってないね。うちにおいでよ！同級生のよしみで半額にしてあげるよ」

「いや、今日はホントに買い物が…、あ…」

「今日はホントに？まぁいいや。買い物終わって気が向いたらおいでよ。めちゃくちゃかわいくしてあげるから！」

そう言って、彼女は去って行った。

何が悲しくて昔のいじめっ子に髪を切ってもらわなきゃいけないの…？

でも…、彼女の真剣なまなざしに引き込まれ、美容室に行った…。
（半額にしてくれると言ってたし）

「ようこそ、待ってました！あれ、買い物は？」

「あ…、なまものを買わなきゃいけなかったから帰りでいいや…」

「そう。さぁ座って座って」

彼女は淡々と私の髪を切り始めた。その瞳はとても輝いていた。

ひっ、ハサミ…

私は少し恐怖感もあった。この人からいじめを受けたことが未だに癒えていなかったから…。

「藤崎さん、どうして千葉に？」

「…いとこが千葉の大学に入ることになって、くっついて来ちゃっただけです…」

「へー、そうなんだ。で、藤崎さんは何やってんの？」

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表紙・目次

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