あお
「…冗談だけど」

「なんだよ!…そっか」

「健藏さんは?前に話してくれた夢は?」

「実は来月オープンするんだ」

「本当に!?すごーい!絶対行くよ。どこにあるの?」

「今から行くか?」

「行く!」

健藏さんは自分の夢の場所へ連れてってくれた。ここから近い所だった。

「うわぁ…、大きいね!」

「猫たちがのびのびとできるようにしたんだ。捨て猫がもう11匹集まってるよ」

「そんなに!?喜んでいいのか悪いのか…」

「な。みんなもう寝たかな?」

健藏さんは中に入っていった。

「何やってんの。入らねぇの?」

「いいの?オープン前に…」

「いいよ。入場料はきっちりもらうから」

「えー、サービスしてくんないの?」

「ぶー、サービスなんかしねぇもん」

「ケチ!まぁいいや。猫かわいいし」

私も中に入った。

「こっちこっち。あ、みんな起きてたのかー。夜遊びなんていけない子たちだなー。…はははは」

健藏さんは無邪気に猫たちと遊んでいた。猫たちも健藏さんを信頼しているように見える。
人間に捨てられてきっと心に傷を負っているだろうに…。

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