あお
「…日々バイト探しです」

「そうなのー。何がやりたいの?何か特技とかは?」

「…特にないです」

「…ていうか、なんで敬語なの?うちら同級生じゃん!」

「ごめん…」

「ま…、ねぇ。私藤崎さんのこといじめていたからね。こわいんでしょ」

「いや、そういうわけじゃ…」

「いいよ無理しなくて。悪いことしたって思ってるよ。ごめん。私もあの頃は家のこととか、イラついててさ…、ごめんね」

…彼女は謝ってくれた。
途端、未だに彼女のことを許せずにいた自分がなんだか恥ずかしくなった。

「き…、気にしてないから!…帆山さん、美容師になってすごく輝いていて、なんか圧倒されたんだ…。自分は情けない状況だし…」

「私輝いてる?そんなに!?」

「もうピカピカ…」

「はは、ありがとう。…藤崎さんはたしか、絵上手かったよね。絵は描いてるの?」

「そういや描いてないなぁ…。学生終えたら娯楽的なことはしちゃいけないような気がして…」

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