グレーな彼女と僕のブルー
 正門に向かってヒョコヒョコと歩いていると、左手側にある体育館の入口付近に古賀先輩が立っていた。誰かと話をしているため、こちらに背を向けている。

 会話の相手は多分紗里だ。見なくても分かる。

 早く立ち去ろう。

 正直、古賀先輩にはいい印象を抱いていない。

 普段から当たりがキツいこともそうだが、ただ何となく好きになれない雰囲気がある。

 おそらく向こうもそう思っているはずだ。

「あ! 恭ちゃん!」

 ……っげ。

 古賀先輩に目をつけられる前に立ち去ろうと考えていたのに、よもや先輩本人と話をしていた紗里に見つかってしまうとは。

 思い切りしかめた表情(かお)で二人を見てしまい、慌てて顔を背ける。

 いつもなら目の合った先輩に「お疲れ様です」と挨拶をして帰るところだが。先週末の部活でぶつかられたことを思い出し、つい無視をしてしまった。

「じゃあね、古賀っち」

「……あ、おう」

 ……え。

 いつものようにそのまま会話を続けるかと思いきや、紗里が僕の方へ駆け寄ってくる。

「恭ちゃん、せっかくだから一緒に帰ろう?」

「………あ。うん」
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