グレーな彼女と僕のブルー
 隣りに並んだ紗里を見て、胸のあたりがホワホワと温かくなる。

 変だ。

 ついこの間までは並んで歩くなんて冗談じゃないと思っていたはずなのに、今はそれほど嫌じゃない。

 試しに後ろを振り返ると、既に古賀先輩は背を向けていて、グラウンドに向かって歩き出していた。振り返られて目が合うと厄介なのでサッと前を向く。

「どうしたの? 恭ちゃん」

「……いや。て言うかおまえ。良かったのかよ、古賀先輩」

「古賀っち? 別に。帰ろうとしたところを呼び止められたから喋ってただけだし」

「……ふぅん」

 古賀先輩と付き合ってるのかな。それともただの友達かな?

 気になるけど……なんとなく聞きづらい。

 右足を引きずりながら進むので、歩みは遅い。ようやく正門を抜けた。

「紗里って……仲いいよな、古賀先輩と」

 依然として前を向いたままなので、紗里の表情は分からないが。紗里は声を弾ませながら「そうだね」と肯定した。

「中学のときなんだけど。古賀っちとは付き合ってたから」

「っえ!」

「……うん?」

 まさかの元カレ!? てか、今は??

「恭ちゃん、どうかした?」

「……あ、いや?」
< 106 / 211 >

この作品をシェア

pagetop