グレーな彼女と僕のブルー
 聞けない。と言うか、聞くのが……怖い。

 付き合っていたということは、つまり"そういうこと"をしていたというわけで、親密に見えるのは、恋人同士の距離感を既に体験しているからで、恥ずかしさとか躊躇いがなくて、だから、だから……っ。

「恭ちゃん大丈夫? 顔赤いし……青いよ?」

 紗里に心配されて横から顔を覗き込まれる。

「なんで……付き合ったの?」

 気付いた時にはそんな質問を投げていた。

「え。告白されたから……?」

 なんで疑問系、そしてなんて安直な解答。

「じゃあ、なんで別れた……の?」

 聞いたあとになって、しまったと思った。そんなの関係ない、と返されたらどうしよう。

 僕のそんな不安とは裏腹に紗里はあっけらかんと答えた。

「やっぱり違うなと思ったから」

「……違う?」

 ちゃんと答えが返ってきたことに安堵して、ようやく紗里の顔をまともに見た。

「古賀っちとは運命共同体って感じがしないから」

 運命共同体……。

「そうなんだ」

 子供の頃、無邪気にそう言って笑っていたサリーちゃんを思い出す。

 ーー『あたしと恭ちゃんは運命共同体だからね!』
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