グレーな彼女と僕のブルー
「恭介くんかぁ……ママからは聞いていたけど。……いやぁ、ほんとに大きくなったなぁ〜」

 紗代子叔母さんがした時と同様の反応をされて、僕は「はい」と曖昧に首を傾げた。どう返していいのか戸惑ってしまう。

「あの、お久しぶりです……長らくお世話になっててすみません」

 とにかくひと月もの間、お世話になっているので恐縮した気持ちで再度一礼する。

「ああ、本当に久しぶりだ。昔は紗里より可愛いらしかったのになぁ〜」

 おじさんがワハハと笑い、紗里が「パパひとこと余計!」とむくれている。そのままリビングに入って行った。

「もう少ししたらご飯にするわね?」

 紗代子叔母さんに声をかけられて、「はい」と返事をする。

 母の帰宅もそろそろだろう。リビングから聞こえてくる家族団らんの響きにいっとき耳を傾け、僕は玄関を見つめた。


 *

「恭ちゃん、十六歳おめでとうっ!」

 その日。紗里と叔母さんが用意してくれたのは、どれもこれも手が込んだ料理ばかりで目を見張った。

 仕事から帰宅した母もズラリと並んだご馳走に驚いている。
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