グレーな彼女と僕のブルー
 仕方ない、と今度は別の履歴を呼び出し、誠にラインを打った。土曜日の今日、部活は休むつもりだ。

 ふと画面の右上を見て、ため息をついた。充電タンクを表す長方形は半分を下回っていて、バッテリー残量は38パーセントだ。充電器は自宅に置いてあるので仕方ないかと諦めた。

 キッチンで朝ごはんをいただいた時、紗代子叔母さんに今日の予定を聞いた。

 叔母さんは午前中、いざという時のために弁護士事務所へ相談をしに行くそうだ。

 僕は行くつもりのない部活を理由に、八時過ぎにおいとますることにした。

 必然的に大和は一人で留守番になるそうだが、慣れているので構わないと言っていた。

 昨日の制服姿で自宅に向かって歩く。ゆうべの雨はそこかしこに丸い水たまりを残し、空は綺麗に晴れ上がっていた。うっすらと張り付いた細長い雲を見つめ、今日はいい天気になりそうだと予感する。

 自宅に帰り着くと、既に母は出勤していた。自分の部屋で私服に着替え、自転車にまたがった。
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