グレーな彼女と僕のブルー
 ストーカー被害で……。

 なるほど、と思った。

 蓮田さんには元々恐怖の対象があったから、ボヤを見て外出したのだ。

「いつも家にいる私が、あの日だけは何故外出したのか……坂下くんとは聞き方が違うけど、実は刑事さんにも疑われたのよ?」

「……え?」

「きっと何でも疑って捜査するのが仕事だからよね。私が犯人の男と共謀して放火したかもしれないって。あの日のあの時間、ピンポイントで外出したから怪しまれて当然かもしれないけど……何で外に出たのか事細かく聞かれたわ」

 言いながら蓮田さんは不満げに唇を尖らせた。

「えぇと……思うことは色々あるんですけど。犯人は男なんですか?」

「知らない。私が勝手にそう思ってるだけだし。ストーカーをして来たあの男しか心当たりがなくって。まだ捕まったとかの報道もされてないしね」

「ですよね……」

「あ。勿論、刑事さんには男のことも話したわよ? 私に危害を加えようと思って火をつけたんだと思うって」

「なるほど」

 まぁ、近所での目撃証言もあることだしな……。

 小一時間前、おばさんから聞いた話を思い出していた。

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