グレーな彼女と僕のブルー
 二週間ほど前から、親友の友田(ともた) (まこと)はいつもこの話をする。何でも隣りのクラス、一年三組の女子に一目惚れをしたらしい。

「んっとに、おまえは女子に興味ねーよなぁ」

 隣りを走る誠に肘で小突かれた。

 従姉弟の家から走って十分で学校に着いた。陸上部顧問の長谷川先生に三十分の遅刻を詫びると、外周3周がプラスされた。

 陸上部長距離のメニューでは、ストレッチと筋トレでウォーミングアップをしたあと、ペース走として毎回校庭周りを8周走るのだが、今日は11周になった。

 長谷川先生いわく、十分遅刻するごとに1周プラスとなるらしい。

 昨日の火事を言い訳にするつもりは、最初からなかった。と言うのも、火事で焼け出された結果、どこに住んでいるのかを訊かれたくなかったからだ。

 従姉弟とは言え、女子の家に居候しているなんて誰にも知られたくない。今現在、一緒に走っている誠も然りだ。

「そりゃあ、あれだけの美人なんだから彼氏ぐらいいても不思議じゃないけどさぁ〜、って聞いてるかー、恭介ー?」

 誠の女々しい愚痴にも飽きたので、そのまま置いていこうとするとスピードを上げて直ぐさま追いついて来る。
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