グレーな彼女と僕のブルー
「じゃあ決まり! 赤城家(うち)でクリパしようよ?」

 クリパ……。

 クリスマスパーティーのことか。

 例年通りなら、母が仕事帰りに買ってきたケーキを一緒に食べるだけだが、パーティーと付くからには何かするのだろうか?

 僕はぱちぱちとまばたきをし、彼女を見た。つい真顔になる。

「いいけど……。何かするの?」

「うーん……例えばプレゼント交換とか」

「プレゼント交換?」

「ほら、小学生のとき学校のお楽しみ会とかでやらなかった? 音楽が流れている間にプレゼントをみんなで回して、曲が止まったときに持っているやつを貰えるの」

「……やったけど」

「けど?」

「俺とおまえと大和だけでするの?」

 紗里はキョトンとし、目を細めて笑う。「まさか」と呟いた。

「みんなも呼ぶんだよ」

「みんなって?」

「友田くんとか古賀っちとか、クラスの友達とか。五人程度なら呼んでもいいってママが言ってたし」

 人を集めてのパーティー、か……。

「……。ふぅん、案外ガキっぽいことするんだな、俺はパス」

「えぇ〜、何でよー?」

 紗里は幾分不満そうに頬を膨らませた。その仕草は申し分ないほど可愛いが、僕は敢えて目線を逸らした。
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