グレーな彼女と僕のブルー
「他のやつなんていちいち呼ばなくていいじゃん。紗代子叔母さんの負担になるんだし」

　言いながら手に力が入った。紗里の小さな手をぎゅっと握る。

「ふふふっ」

　急に紗里が笑い出した。いつかのように流し目で僕を見て、「冗談だよ」と続けた。

「家族でご馳走とケーキを食べてから、テレビを見る、そんな感じでいいんじゃない？」

「……あ。うん」

「ちょうど冬休みに入るんだしさ、恭ちゃんその日は泊まっていきなよ？　一緒に夜更かししよう？」

　透き通るようで、相変わらず綺麗なグレーの瞳が、僕を捕らえて離さない。

　紗里と二人で夜更かしか。それはそれでいいかもしれない。

　さっきまでのモヤモヤが消えて、途端に気持ちが華やいだ。来週のクリスマスを想像し、わくわくと心が踊った。

「……うん」

　深く頷くと、紗里は「そう来なくっちゃね！」と声を弾ませた。

　にこにこと上機嫌になる紗里を横目に見ながら、今日の部活で交わした誠の台詞を思い出していた。

　ーー「両思いなんだからさ、とっとと好きって言って付き合っちまえばいいんだよ」

　無意識に奥歯を噛み締めていた。
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