グレーな彼女と僕のブルー
「うちってそんなに校則厳しくはないけどさ、あの髪色とあの目の色は驚きだぞ?」

「へぇ……」

 あの、あの、と言われるが。見たことがないので共感できない。

「どんな色か訊かないのかよ?」

 ぼやく誠を横目で見ると、やはり不満そうに口を尖らせていた。

「どんな色?」

 仕方なく友の要求に応じる。誠は満足そうに頷いた。

「明るい茶髪になんと目がグレーなんだ!」

 ……え。

 どうだ、参ったか、とでも言いそうな口調だが。そこに突っ込む気にはなれず、自然と減速していた。

「あれ、恭介?」

 先を走る誠もペースダウンして、僕へと振り返った。

「グレーって……カラコン?」

「多分な。つか、なに? やっぱ衝撃的だった?」

「……いや」

 得意げに笑う誠を見て、再び元のスピードで走り出す。

「で、話を戻すけどさ。そのアカギさんが二年の先輩と付き合ってるかもしれないって噂を聞いて、これどうすっかなぁって悩んでるわけよ」

 誠の相談は続くが、僕は無言で大地を蹴っていた。

 アカギさん、グレーの目、明るい髪色。
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