グレーな彼女と僕のブルー
 フリフリのワンピースを着せて、アイドルの真似事をするために親から買い与えられたロングヘアのカツラを被せ、写真まで撮った。恭ちゃんは美少女そのものだった。

 そんじょそこらの子役、女優なんて目じゃない。

 内心ではお姫さまやアイドルをプロデュースしているような気分で始めたのだが、可愛い彼を見て激しく心がときめいた。

 幼いころから、あたしはとにかく可愛いものが大好きだった。女の子らしい小物や雑貨、洋服を見ると俄然テンションが上がった。

 そのせいか可愛い物好きの趣味や嗜好は静物に限らず、動く物にも向けられた。

 子猫が好き、子犬が好き、ハムスターが好き、小動物全般が好き、赤ちゃんが好き、そして可愛い容貌をする恭ちゃんが好き。

 ただ見ているだけで癒された。

 あたしが楽しんでする着せ替えごっこに関して、恭ちゃんは毎回困ったように笑うものの、嫌とは言わなかった。だからただ単に恥ずかしいだけだと思っていた。

 しかしながら、おままごとから派生したその遊びを続けるうちに、恭ちゃんが全く遊びに来なくなった。

 明らかに落胆するあたしを見兼ねて、美弥子さんが謝ってくれた。
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