グレーな彼女と僕のブルー
「ごめんね、紗里ちゃん。最近あの子、近所の男の子と遊ぶことが多くて」

 あたしに気を遣って本音を言わずにいてくれた美弥子さんに、今となっては重ねて申し訳なかったと思う。

 やっぱりアレがまずかったのか。

 小三のチンケな脳みそで考えても分かった。

 あたしは男の子の、いわゆるプライドというものを傷付けてしまったのだ。可愛い可愛いと愛でるあたしに、恭ちゃんは日々ショックを受けていたのだ。

 あんなにときめいてやまない恭ちゃんに嫌われたんだと自覚すると、悲しくて仕方なかった。全ては自業自得なのだが。

 そして会えなくなってから気が付いた。もしかすると、あのときめきは恋だったのかもしれない、と。

 あたしの初恋は馬鹿な行いのせいで儚く散った。

 それから数年は誰を好きになるわけでもなく、少女漫画のキラキラ男子に擬似恋愛をして時が流れた、というわけだ。

 *

 恭ちゃんはあたしの存在に全く気付かなかった。それも清々しいほどに。

 そもそも女子が苦手なのか、一切見ていない感じだ。

 だったら恭ちゃんがいつも見ているのは何なのか?
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