グレーな彼女と僕のブルー
玄関に見慣れないボストンバッグを置く後ろ姿。
「……きょう、ちゃん……?」
その鞄を開けて中からジャージと体操服を取り出す自分の影も。端に浮かんだ灰色の数字は"10/2.7:28"となっている。
あたしは左目を押さえたまま、玄関に上がった。影の自分はジャージと体操服を洗濯して乾かし、綺麗に畳んでいる。胸元のネームの刺繍は"坂下"となっていた。
やっぱり。恭ちゃんのものだ。
そして洗濯したそれらを洋室へ運ぶところで準備の映像は途絶えた。時刻は朝の"8:58"だった。
何が起こるの……?
あたしはキュッと眉を寄せ、再び玄関に戻った。
「……あ」
右目が朝の風景を捉えた。時刻は"9:15"だ。すぐそばにある洋室の扉が開き、恭ちゃんが出てきた。私服姿だ。
あたしの家の玄関で靴を履き、外に出て行く。映し出された風景からコンビニに行くんだと分かるのだが。
……っえ!?
思わずハッと息を呑んだ。
角を曲がった先で、彼は通りかかったスポーツカーに撥ねられていた。そのまま救急車で搬送されていく。
「……そんな」
「……きょう、ちゃん……?」
その鞄を開けて中からジャージと体操服を取り出す自分の影も。端に浮かんだ灰色の数字は"10/2.7:28"となっている。
あたしは左目を押さえたまま、玄関に上がった。影の自分はジャージと体操服を洗濯して乾かし、綺麗に畳んでいる。胸元のネームの刺繍は"坂下"となっていた。
やっぱり。恭ちゃんのものだ。
そして洗濯したそれらを洋室へ運ぶところで準備の映像は途絶えた。時刻は朝の"8:58"だった。
何が起こるの……?
あたしはキュッと眉を寄せ、再び玄関に戻った。
「……あ」
右目が朝の風景を捉えた。時刻は"9:15"だ。すぐそばにある洋室の扉が開き、恭ちゃんが出てきた。私服姿だ。
あたしの家の玄関で靴を履き、外に出て行く。映し出された風景からコンビニに行くんだと分かるのだが。
……っえ!?
思わずハッと息を呑んだ。
角を曲がった先で、彼は通りかかったスポーツカーに撥ねられていた。そのまま救急車で搬送されていく。
「……そんな」