グレーな彼女と僕のブルー
昼過ぎの部活帰り。いつもと反対方向に歩くのを見られぬよう、細心の注意を払いながら帰路を辿っていた。その途中で電話がかかってきた。
【ジャージと体操服、洗ってくれてありがとう】のラインの返答だ。
『昨日の火事でバタバタしたでしょう? そんな余裕全然なかったわぁ』
母さんは電話ごしにため息をつき、ごめんね、と謝った。
「……でも紗里は母さんから頼まれたって」
『ううん、頼んでない。今朝は出勤にバタバタしたから恭介の朝ご飯だって紗代子叔母さんにお願いしたし』
「え、じゃあ……?」
『紗里ちゃんでしょ? 叔母さんも仕事に出たはずだし。あの子がわざわざあんたの鞄からジャージと体操服出して洗濯してくれたのね、良かったじゃない?』
今朝あたふたする僕に畳んだそれらを差し出す彼女を思い出していた。
『恭介には言ってなかったけど、紗里ちゃんは同じ学校だからあんたが陸上部だって知ってたのよ。帰ったらお礼言っときなさいよ?』
「……うん」
分かった、と続け、電話を切った。
家に着くまでの間、紗里のことを考えていた。
【ジャージと体操服、洗ってくれてありがとう】のラインの返答だ。
『昨日の火事でバタバタしたでしょう? そんな余裕全然なかったわぁ』
母さんは電話ごしにため息をつき、ごめんね、と謝った。
「……でも紗里は母さんから頼まれたって」
『ううん、頼んでない。今朝は出勤にバタバタしたから恭介の朝ご飯だって紗代子叔母さんにお願いしたし』
「え、じゃあ……?」
『紗里ちゃんでしょ? 叔母さんも仕事に出たはずだし。あの子がわざわざあんたの鞄からジャージと体操服出して洗濯してくれたのね、良かったじゃない?』
今朝あたふたする僕に畳んだそれらを差し出す彼女を思い出していた。
『恭介には言ってなかったけど、紗里ちゃんは同じ学校だからあんたが陸上部だって知ってたのよ。帰ったらお礼言っときなさいよ?』
「……うん」
分かった、と続け、電話を切った。
家に着くまでの間、紗里のことを考えていた。