グレーな彼女と僕のブルー
思えばあの頃の僕は八歳で、紗里は九歳だ。小二と小三でまだ精神的にも幼かったぶん、どんな行いが他人を傷付けるかなんて分かっちゃいなかった。
紗里は僕と離れていた数年間で自身の愚行を恥じ、修復しようと考えているのかもしれない。
無言で歩みを進めていると、案の定紗里も付いて来ていて、赤信号の横断歩道の前に並んで立ち止まる。
向こう側の歩道の隅に赤のカラーコーンが二つ並べて置いてあった。等間隔に植えられた街路樹からは太陽光がちらちらと漏れ出ている。
紗里は子供の頃のように気楽な関係を望んでいるのかもしれないけれど、もはや僕にはどうでも良かった。
極力女子とは話さないのが日常的なスタイルだし、紗里とも家以外では関わりたくない。従姉弟で親戚だから仕方なくこうなっただけで、引っ越しが決まったらまた他人同然になるんだ。
この信号を渡りきったら、先に行くつもりでいた。あのカラーコーンを過ぎたら、走ってでも紗里を振り切ろうとそう考えていた。
家を出た時に先に行く意思は伝えてあるし、もう一度言う必要はないだろう。
紗里は僕と離れていた数年間で自身の愚行を恥じ、修復しようと考えているのかもしれない。
無言で歩みを進めていると、案の定紗里も付いて来ていて、赤信号の横断歩道の前に並んで立ち止まる。
向こう側の歩道の隅に赤のカラーコーンが二つ並べて置いてあった。等間隔に植えられた街路樹からは太陽光がちらちらと漏れ出ている。
紗里は子供の頃のように気楽な関係を望んでいるのかもしれないけれど、もはや僕にはどうでも良かった。
極力女子とは話さないのが日常的なスタイルだし、紗里とも家以外では関わりたくない。従姉弟で親戚だから仕方なくこうなっただけで、引っ越しが決まったらまた他人同然になるんだ。
この信号を渡りきったら、先に行くつもりでいた。あのカラーコーンを過ぎたら、走ってでも紗里を振り切ろうとそう考えていた。
家を出た時に先に行く意思は伝えてあるし、もう一度言う必要はないだろう。