グレーな彼女と僕のブルー
 こ。古賀先輩……?

 眠そうな顔であくびをしながら、陸上部の先輩が顔を覗かせた。そのままだるそうに入って来る。

「あ、古賀っち。おはよ〜」

「……おう」

 "古賀っち"?

 思わず紗里と先輩を交互に見比べた。

「朝からまたサボり?」

「まぁな、そんなとこ。紗里は?」

 "紗里"??

「隣りのクラスの坂下 恭介くんを呼び出してましたっ」

 っえ!

 親しげな雰囲気の中に突如として放り込まれ、言わずもがな狼狽えてしまう。この場合何と言って立ち去るのがベストだろうか。

「坂下……おまえ、紗里と親しいのか?」

「えー……あぁ、まぁ。一応……?」

 返事が続かない。それどころか曖昧に首まで傾げてしまう。案の定、古賀先輩は怪訝な目で僕たちを見ていた。

「ふふふっ。"恭ちゃん"はさ、あたしの従兄弟なんだよー」

「……イトコ?」

「そっ。会うの久しぶりだしさぁ、ダブってるせいで全然あたしだって気付かないから、無理やり呼び出したの」

「……。ふぅん?」

 古賀先輩はジロリと僕を一瞥してから教室の後方まで歩き、そこに腰を下ろした。
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